公団社団法人リース事業協会

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リース会計基準の概要

適用時期

現在のリース会計基準は、2008年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度から適用されています。また、四半期財務諸表については、2009年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度に係る四半期財務諸表から適用されています。

適用範囲

「中小企業の会計に関する指針」又は「中小企業の会計に関する基本要領」の適用対象とならない会社は、リース会計基準が適用されます。 金融商品取引法の適用を受ける上場会社等は、財務諸表等規則により、リース会計基準の適用が義務付けられています。

リース取引の定義と分類

リース取引とは、特定の物件の所有者たる貸手が、当該物件の借手に対し、合意された期間(リース期間)にわたりこれを使用収益する権利を与え、借手は、合意されたリース料を貸手に支払う取引をいいます。 リース取引は、ファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引に分類されます。

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<ファイナンス・リース取引>

ファイナンス・リース取引とは、リース契約に基づくリース期間の中途において当該契約を解除することができないリース取引またはこれに準ずるリース取引(解約不能のリース取引)で、借手が、リース物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができ、かつ、当該リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担するリース取引(フルペイアウトのリース取引)をいいます。
ファイナンス・リース取引は、「所有権移転ファイナンス・リース取引」(リース契約上の諸条件に照らしてリース物件の所有権が借手に移転すると認められるもの)と、「所有権移転外ファイナンス・リース取引」(所有権移転ファイナンス・リース取引以外のファイナンス・リース取引)に分類されます。

<オペレーティング・リース取引>

オペレーティング・リース取引とは、ファイナンス・リース取引以外のリース取引をいいます。

ファイナンス・リース取引の具体的な判定基準

ファイナンス・リース取引(「解約不能」で「フルペイアウト」のリース取引)の具体的な判定基準として、次の(i)(ii)のいずれかに該当するリース取引は、ファイナンス・リース取引と判定さます。「概ね」が付されているため、88%あるいは73%であっても、実質的にフルペイアウトとみられる場合には、ファイナンス・リース取引と判定されることになります。

i.現在価値基準(90%基準)
解約不能リース期間中のリース料総額の現在価値が、リース物件の見積現金購入価額(借手がリース物件を現金で購入すると仮定した場合の合理的な見積金額)の概ね90%以上であるリース取引。

ii.経済的耐用年数基準(75%基準)
解約不能リース期間が、リース物件の経済的耐用年数の概ね75%以上であるリース取引。

<現在価値の算定方法>

リース料の支払い条件に基づき、貸手の計算利子率(貸手の計算利子率を知り得ない場合は借手の追加借入利子率)を使用して、複利計算の方法で割引計算を行い、リース取引開始時のリース料総額の現在価値を算定します。
借手による残価保証がある場合、借手及び貸手は、この残価保証額をリース料総額に含めて現在価値を算定します。借手以外の第三者による残価保証がある場合、貸手においては、この第三者保証額をリース料総額に含めて現在価値定します。
リース料に含まれる維持管理費用相当額(リース物件にかかる固定資産税、保険料等)、通常の保守等の役務提供相当額(リース物件のメインテナンス費用等)は、原則として、リース料総額から控除しますが、これらの金額のリース料に占める割合に重要性が乏しい場合には、控除しないことができます。
割安購入選択権付リース取引の場合、その行使価額をリース料総額に含めて現在価値を算定します。

所有権移転ファイナンス・リース取引の判定基準

ファイナンス・リース取引と判定されたもののうち、次の(i)から(iii)のいずれかに該当するリース取引は、所有権移転ファイナンス・リース取引に該当します。

i.譲渡条件付(所有権移転条項付)リース取引
リース契約上、リース期間終了後またはリース期間中途で、リース物件の所有権が借手に移転することとされているリース取引。

ii.割安購入選択権付リース取引
リース契約上、借手に対して、リース期間終了後またはリース期間中途で、名目的な価額またはその行使時点のリース物件の価額に比して著しく有利な価額で買い取る権利(割安購入選択権)が与えられており、その行使が確実に予想されるリース取引。

iii.特別仕様物件のリース取引
リース物件が、借手の用途等に合わせて特別の仕様により製作または建設されたものであって、当該リース物件の返還後、貸手が第三者に再びリースまたは売却することが困難であるため、その使用可能期間を通じて借手によってのみ使用されることが明らかなリース取引。

ファイナンス・リース取引に係る借手の会計処理

【リース資産及びリース債務の計上】

借手は、所有権移転外ファイナンス・リース取引の開始日に、次の(a)(b)のいずれか低い額を「リース資産」、「リース債務」として貸借対照表に計上します。

a.リース料総額の現在価値

b.貸手の購入価額(貸手の購入価額が明らかでない場合は見積現金購入価額)

所有権移転ファイナンス・リース取引の場合、リース物件の貸手の購入価額が明らかなときは当該価額を計上し、明らかでない場合は、リース料総額の現在価値または見積現金購入価額のいずれか低い額を計上します。 リース資産は、原則として、有形固定資産、無形固定資産の別に、一括して「リース資産」として表示します。ただし、有形固定資産または無形固定資産に属する各科目に含めることもできます。 リース債務は、リース料の支払期限1年以内・超に区分して、次のとおり表示します。

a.貸借対照表日後1年以内に支払期限が到来するもの :流動負債に表示

b.貸借対照表日後1年を超えて支払期限が到来するもの:固定負債に表示

【リース資産の減価償却】

所有権移転外ファイナンス・リース取引のリース資産は、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロ(残価保証の取り決めがある場合は、残価保証額を残存価額とする)として減価償却を行います。
減価償却方法は、企業の実態に応じて選択でき、また、自己所有の固定資産に適用する方法と同一の方法による必要はありせん。ただし、税法上は「リース期間定額法」のみが認められているため、実務上は、「リース期間定額法」により減価償却を行うこととなります。仮に、「リース期間定額法」以外の減価償却方法によって償却した額が税法上の償却限度額を超えた場合、その超過額は、税務上、当期の損金として認められません。
所有権移転ファイナンス・リース取引のリース資産は、自己所有の固定資産に適用する減価償却方法と同一の方法により、経済的使用可能予測期間を耐用年数として減価償却を行います。

【支払リース料の処理】

支払リース料は、利息相当額部分と元本返済額部分に区分し、利息相当額部分は支払利息(営業外費用)として処理し、元本返済額部分はリース債務の返済として処理します。
利息相当額は、原則として、利息法(リース債務の未返済残高に利子率を乗じて、各期の利息相当額を算定する方法)によりリース期間中の各期に配分します。利息相当額の算定に用いる利子率は、リース料総額の現在価値がリース資産及びリース債務の計上価額と等しくなる利率です。支払リース料と利息相当額の差額が元本返済額部分となり、この額をリース債務の返済として処理します。
ファイナンス・リース取引の判定の際に、リース料総額から維持管理費用相当額あるいは役務提供相当額をリース料総額から控除した場合、これらを差し引いた額で支払リース料の処理を行い、維持管理費用相当額あるいは役務提供相当額は、これらの内容を示す科目で費用に計上します。

【リース期間終了時の処理】

所有権移転外ファイナンス・リース取引のリース期間が終了したとき、残価保証が付されている場合を除き、借手は、特に会計処理を要しません。残価保証がある場合、貸手に対する支払額(借手の残価保証額-貸手による物件処分価額)が確定したときに、この支払額をリース資産売却損等として処理します。

【再リースの処理】

所有権移転外ファイナンス・リース取引のリース期間終了後、当該リースが再リースに移行したとき、借手は、再リース料を発生時の費用として処理します。
所有権移転ファイナンス・リース取引のリース期間が終了し、リース物件の所有権が借手に移転した場合、リース資産は、自己所有の固定資産に振り替えた後に減価償却を継続します。

【注記】

ファイナンス・リース取引のリース資産は、その内容(主な資産の種類)及び減価償却方法を注記します。ただし、重要性が乏しい場合(未経過リース料の期末残高割合が10%未満の場合:下記算式を参照)には注記を要しません。

ファイナンス・リース取引に係る借手の簡便な会計処理

【リース資産総額に重要性が乏しい場合】

未経過リース料の期末残高割合が10%未満の部分の所有権移転外ファイナンス・リース取引は、重要性の観点から、次の(a)または(b)のいずれかの方法により会計処理することができます。

a.リース料総額から利息相当額を控除しないで計上する方法
リース料総額でリース資産及びリース債務を貸借対照表に計上し、減価償却費のみを費用として計上します。

b.利息相当額の総額を定額法によりリース期間の各期に配分する方法
リース料総額の現在価値またはリース物件の見積現金購入価額のいずれか低い額でリース資産及びリース債務を貸借対照表に計上し、支払利息を定額で費用として計上するとともに、減価償却費を費用として計上します。

毎月定額のリース料が定められているような通常のリース取引においては、(a)(b)いずれの方法を採用しても、減価償却方法を「リース期間定額法」とすれば、費用処理する額と支払リース料の額は一致することになります。

<未経過リース料の期末残高割合の算式>

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【個々のリース資産が少額の場合及びリース期間が短期の場合】

a.一契約300万円以下のリース取引
企業の事業内容に照らして重要性が乏しい所有権移転外ファイナンス・リース取引で、リース契約1件当たりのリース料総額が300万円以下のリース取引は、賃貸借処理できます。一つの契約に科目の異なる資産が含まれている場合、異なる科目ごとの合計金額により判定することができます。

b.リース期間が1年以内のリース取引
リース期間が1年以内のファイナンス・リース取引は、賃貸借処理できます。

c.リース料総額が購入時に費用処理する基準額以下のリース取引
企業が、重要性が乏しい一定の基準額以下の減価償却資産について、購入時に費用処理する方法を採用している場合、個々のリース物件のリース料総額がその基準額以下のファイナンス・リース取引は、賃貸借処理できます(リース料の中には利息相当額が含まれているため、リース料総額は基準額よりも利息相当額だけ高めに判定できます。)。

ファイナンス・リース取引に係る貸手の会計処理

【リース投資資産及びリース債権の計上】

貸手は、リース取引の開始日に、所有権移転外ファイナンス・リース取引については、「リース投資資産」、所有権移転ファイナンス・リース取引については「リース債権」を貸借対照表に計上します。リース投資資産は、将来のリース料を収受する権利(リース料債権)と見積残存価額から構成される複合的な資産です。
リース投資資産及びリース債権の計上額は、下記の会計処理の第1法の場合はリース料総額、第2法及び第3法の場合はリース物件の現金購入価額となります。
リース投資資産及びリース債権は、次の区分により表示します。

a.会社の主目的たる営業取引により発生したもの:流動資産
b.営業の主目的以外の取引により発生したもの
- 貸借対照表日の翌日から起算して1年以内に入金期限が到来するもの:流動資産
- 貸借対照表日の翌日から起算して入金期限が1年を超えて到来するもの:固定資産

【基本となる会計処理】

貸手は、次の第1法から第3法のいずれかの方法を選択し、その方法により、継続的に会計処理を行います(所有権移転ファイナンス・リース取引の場合、リース投資資産をリース債権と読み替えます。)。

<第1法:リース取引開始日に売上高と売上原価を計上する方法>

  • リース取引開始日に、リース料総額を売上高として計上し、同額でリース投資資産を計上する。
  • リース物件の現金購入価額(付随費用を含む)を売上原価として計上する。
  • 売上高と売上原価との差額は利息相当額として取り扱い、リース期間中の各期末において、利息相当額の総額のうち各期末日後に対応する利益は繰り延べ、リース投資資産と相殺して表示する。

<第2法:リース料受取時に売上高と売上原価を計上する方法>

  • リース取引開始日に、リース物件の現金購入価額(付随費用を含む)によりリース投資資産を計上する。
  • 受取リース料を各期において売上高として計上する。
  • 受取リース料から各期に配分された利息相当額を差し引いた額をリース物件の売上原価として処理する。

<第3法:売上高を計上せずに利息相当額を各期へ配分する方法>

  • リース取引開始日に、リース物件の現金購入価額(付随費用を含む)によりリース投資資産を計上する。
  • 各期の受取リース料を利息相当額とリース投資資産の元本回収とに区分して、利息相当額を各期の損益として処理する。
  • 受取リース料から利息相当額を差し引いた額をリース投資資産の元本回収額として処理する。

【受取利息相当額の処理】

貸手において、受取利息相当額の総額は、リース料総額及び見積残存価額の合計額からリース物件の取得価額を控除した額となります(上記の第1法~第3法のいずれの場合も各期の受取利息相当額は同額となります。)。
受取利息相当額は、貸手の計算利子率を用いて、原則として、利息法によりリース期間中の各期に配分します。

【維持管理費用相当額及び役務提供相当額を区分した場合の処理】

ファイナンス・リース取引の判定の際に、リース料総額から維持管理費用相当額あるいは役務提供相当額をリース料総額から控除した場合、維持管理費用相当額あるいは役務提供相当額は、第1法のリース料総額または第2法及び第3法の受取リース料と区分して、収益計上するか、または固定資産税、保険料等の実際支払額の控除額として処理します。

【リース期間終了時の処理】

所有権移転外ファイナンス・リース取引のリース期間終了後、借手から返還されたリース物件は、見積残存価額で、リース投資資産からその後の保有目的に応じて貯蔵品または固定資産に振り替えます。リース物件を処分した場合、処分価額と帳簿価額との差額を処分損益に計上する。

【再リースの処理】

所有権移転外ファイナンス・リース取引のリース期間終了後、当該リースが再リースに移行したとき、リース投資資産から振り替えた再リースの固定資産は、再リース開始時点の見積再リース期間にわたり減価償却を行い、再リース料を発生時の収益として計上します。

【注記】

所有権移転外ファイナンス・リース取引のリース投資資産は、リース料債権部分及び見積残存価額(借手による保証のない額)部分の金額(各々利息相当額控除前)、並びに受取利息相当額を注記します。

リース料債権部分 ×××
見積残存価額部分 ×××
受取利息相当額 △×××
リース投資資産 ×××

所有権移転ファイナンス・リース取引のリース債権及び所有権移転外リース取引のリース料債権部分について、貸借対照表日後5年以内における1年ごとの回収予定額及び5年超の回収予定額を注記します。 重要性が乏しい場合(未経過リース料及び見積残存価額の合計額の期末残高割合が10%未満の場合:下記算式を参照)には注記を要しません。 重要な会計方針において、第1法から第3法の会計処理のうち、いずれの方法を採用したかを注記します。

ファイナンス・リース取引に係る貸手の簡便な会計処理

所有権移転外ファイナンス・リース取引の未経過リース料及び見積残存価額の合計額の期末残高割合が10%未満の場合、貸手としてのリース取引に重要性が乏しいと認められ、貸手は、利息相当額の総額をリース期間中の各期に定額で配分することができます。 ただし、リース取引を主たる事業としている企業は、この定額法の会計処理を適用することはできません。

<未経過リース料及び見積残存価額の合計額の期末残高割合の算式>

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セール・アンド・リースバック取引の会計処理

セール・アンド・リースバック取引がファイナンス・リース取引に該当する場合、借手及び貸手は、通常のファイナンス・リース取引と同様の会計処理を行います。ただし、借手において、リース資産は、貸手に対する資産の実際売却価額を取得価額として減価償却を行い、貸手において、リース投資資産またはリース債権は、当該資産の実際購入価額で計上します。
借手は、貸手に対する資産の売却価額と売却時における当該資産の帳簿価額の差額を長期前払費用(または長期前受収益)として繰延処理し、リース資産の減価償却費の割合に応じ減価償却費に加減して損益に計上します。ただし、物件の売却損失が、物件の合理的な見積市場価額が帳簿価額を下回ることにより生じたものであることが明らかな場合は、売却損を繰延処理せずに売却時の損失として計上します。

オペレーティング・リース取引の会計処理

借手及び貸手は、オペレーティング・リース取引について賃貸借処理を行います。すなわち、借手は、支払リース料を費用として計上し、貸借対照表にはリース資産及びリース債務を計上しません。貸手は、リース資産を貸借対照表に計上し、減価償却を行い、受取リース料を収益として計上します。
解約不能のオペレーティング・リース取引の場合、借手及び貸手は、解約不能期間中の未経過リース料について、貸借対照表日後1年以内のリース期間に係る未経過リース料と1年を超えるリース期間に係る未経過リース料を区分して注記します。
リース期間中の一部の期間を解約不能としているオペレーティング・リース取引の場合、当該解約不能期間中の未経過リース料を注記する必要があります。 次の(a)~(d)に該当する場合は、注記を要しません((a)~(c)は、賃貸借処理できる所有権移転外ファイナンス・リース取引の基準と同じです。)。

  1. 企業の事業内容に照らして重要性が乏しいオペレーティング・リース取引で、リース契約1件当たりのリース料総額が300万円以下のリース取引(一つの契約に科目の異なる資産が含まれている場合、異なる科目ごとの合計金額が300万円以下のリース取引)。
  2. リース期間が1年以内のオペレーティング・リース取引。
  3. 重要性が乏しい一定の基準額以下の減価償却資産について、購入時に費用処理する方法を採用している場合、個々のリース物件のリース料総額がその基準額以下のオペレーティング・リース取引。
  4. 契約上数ヵ月程度の事前予告をもって解約でき、予告した解約日以降のリース料の支払を要しないオペレーティング・リース取引:予告した日から解約日までの解約不能期間に係る部分のリース料は注記を要しない。